法人カードの審査に通るためのコツとは?審査基準や落ちやすい要因を解説!
ビジネスを円滑化させる法人カードを作るには審査に通ることが重要!
クレジットカードには一般的に使用されている個人カードのほかに、企業や個人事業主が利用できる「法人カード(ビジネスカード)」があります。
利用枠は個人カードに比べて大きく、従業員用として追加でカードを発行できるなど、ビジネスに適した機能を備えているのが特徴です。
今回は、ビジネスを円滑化させる法人カードを発行するにあたり、審査基準や審査に落ちる要因、通るためのコツをご紹介します。
法人カードを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
法人カードの必要性
起業するのであれば、法人カードを作っておいて損はありません。むしろ、法人カードを持っていることで、様々な恩恵を受けられるようになります。
なぜ法人カードを持っておくべきなのかを、まず解説します。
経費管理がしやすくなる
法人カードを利用すると、経費管理がしやすくなります。
例えば、出張での交通費や接待費用など、会社関連の支払いをすべて法人カードにすることで、従業員が立て替える必要もなくなります。
こうした従業員の仮払いがなくなれば、経費精算をする際に従業員の負担を軽減させることが可能です。
また、法人カードで経費をすべて決済していれば、クレジットカードの明細を見れば毎月の経費がわかるので、経費の計上漏れを防げます。
領収書の紛失で経費を請求できないなどのリスクも減らせるのは、従業員にとっても大きなメリットです。
個人事業主でも同様に、法人カードを使えば経費は明細で簡単に確認できるため、経費精算の時短につながります。
キャッシュフローが安定しやすい
法人カードの支払いは後払いに設定されており、実際に経費利用分が引き落とされるのは翌月になります。
それまでは口座に資金が残ることから、キャッシュフローの観点で見ると、現金支払いに比べて法人カードのほうが安定しやすいといえます。
また、法人カードによっては分割払いにも対応しており、1回分の支払額を調整することも可能です。
多額の出費がある場合、分割払い対応の法人カードを使えば、キャッシュフローは安定します。
付帯サービスを利用できる
個人カードと同様に、法人カードでも各カード会社が提供する付帯サービスなどの特典を利用できます。
例えば、オフィスの公共料金や通信費など固定費を法人カードで支払うことで、継続的にポイント還元を受けられます。
獲得したポイントは会社で使う消耗品を購入するのに役立てれば、経費の節約も可能です。
法人カードの付帯サービスにも様々な種類があり、空港ラウンジを利用できるものや海外旅行傷害保険が備わっているものなどがあります。
出張が多い場合は、こうした付帯サービスが備わった法人カードを選ぶのがおすすめです。
企業のガバナンス強化にもつながる
法人カードを発行しておくと、企業のガバナンス強化にもつながります。
従業員に法人カードを使ってもらうことで、経費を使った人物・時間・場所・金額がすべて把握できます。
その結果、従業員による不正利用や不要な経費の利用を防止可能です。
さらに、法人カードの引き落としが法人名義の銀行口座から行われることで、経理の透明化が図れます。
法人カードの審査基準
カード会社に申し込んでも、すぐにカードを発行してもらえるわけではありません。必ずカード会社の審査を受けることになります。
法人カードを発行してもらうには、どのような基準で審査が行われるのでしょうか。
審査基準は明かされていない
審査基準は各カード会社によって異なりますが、その内容は一切明かされていません。
最高機密情報として扱われており、カード会社の従業員でも知っている人は限られているほどです。
また、カード会社では様々な項目を総合的に見て判断しているため、「これさえクリアすれば審査に通る」などと断言はできないことを覚えておくと良いでしょう。
審査でチェックされるポイント
法人カードの審査基準は明らかになっていないものの、確実にチェックしていると思われる項目はあります。この項目は最低限押さえるようにしてください。
1.事業年数
どれだけの期間、事業が継続されているかが審査される上で重要となってきます。
一般的に3年以上事業が継続されていると、審査上有利になりやすいといわれているほどです。
なぜなら、3年以上継続されているということは支払いの安定性が期待できるためです。
起業後すぐに申し込んだ際、法人カードの審査に落ちてしまった場合は、設立から3年以上経過した時点で申し込むと審査に通るかもしれません。
2.財務状況
カード会社によっては、申込書に前年度の売上高や最終利益を記入する欄を設けているところもあるため、法人の財務状況も審査でチェックされていると考えられます。
さらに、申込書以外にも財務諸表や確定申告書などの補完書類を提出しなくてはいけない場合もあります。
財務諸表や確定申告書、または決算書などの書類を確認しつつ、売上高や最終利益を正確に記入してください。
万が一補完書類と申込書の数字が誤っていたり、赤字だからといって嘘をつき黒字に見せかけたりすると、審査にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。
3.固定電話番号・屋号の有無
個人事業主の中には自宅をオフィスにしている方もいますが、事業用の固定電話番号を準備している方は少ないかもしれません。
しかし、法人カードの審査では事業用の固定電話番号があるかどうかもチェックされます。
これは、固定電話番号があるということは、そこに会社が所在していることを証明できるためです。
IP電話でも構わないため、申し込む前に固定電話番号は用意してください。
さらに、商業上使用する屋号名もあらかじめ付けておくと、信用度の向上につながります。
4.個人や代表者の信用情報
いくら事業の経営状況が良かったとしても、個人や代表者の信用情報があまり良いものではないと、法人カードの審査に悪影響を及ぼす恐れが高くなります。
指定信用情報機関にはこれまでのカード使用履歴が残されており、返済遅延などの情報もすべて履歴が残っています。
自分が気づいていないだけで金融事故が発生しているかもしれません。
そういった危険性もあるため、不安な場合は指定信用情報機関に情報開示依頼をしてみるのもおすすめです。
法人カードの審査に落ちてしまう4つの要因
法人カードの審査に落ちてしまうのは、以下の内容が起因していると考えられます。それぞれの要因を具体的に解説します。
1.返済の遅れが発生している
カード会社が申込者本人の信用情報を調べた際、返済の遅れが発生している場合は信用度が低いとみなされ、審査に落ちてしまう場合があります。
特に、未入金や返済の遅れが3カ月以上続いている場合、ブラックリストに登録されてしまいます。
信用情報機関に情報開示を依頼し、もし返済の遅れが発生していた場合は法人カードの申込みを一旦中止したほうが良いでしょう。
カード審査に落ちてしまうこともクレジットヒストリー(クレヒス)を傷つけてしまうことにつながります。
なお、ブラックリスト入りしてしまうと延滞を解消してから約5~10年間は情報が掲載され続けてしまうので注意してください。
2.債務整理・自己破産を行った
過去に任意整理や自己破産など、債務整理を行った場合も信用情報機関に情報が記録されます。
ブラックリスト入りすると、前述のとおり約5~10年間は法人カードを作れません。
また、債務整理に関する情報は信用情報機関だけでなく、官報にも情報が掲載されています。
カード会社の中には官報で発表された情報をデータベース化しているところもあるようです。
5~10年が経過し信用情報機関の記録は消えても、カード会社には債務整理に関する記録は消されていないため、審査に通りづらくなります。
3.短期間で法人カードを複数社に申し込んだ
審査に落ちたくないという理由から、短期間で法人カードを複数社に申し込む方もいるようですが、この行為は審査上不利になってしまいます。
なぜなら、カード会社に申し込んだ情報も、個人信用機関に「申込情報」として記録されるためです。
短期間で複数社に申込みをしていることがわかると、カード会社は「支払いに困っていて、いずれ貸し倒れをするかもしれない」と判断してしまいます。
実際はそうでなかったとしても、信用情報だけだと読み取れないため、申込みは1社に絞って行うのが基本です。
4.事業実態・事業内容が不透明
何をしている会社なのか、どのような事業を展開しているのかがカード会社に伝わらないと、審査で不利になる恐れがあります。
特に事業実態や事業内容を調査する際に、事業用固定電話番号があるのか、ホームページは作成されているかなどをチェックしていくようです。
カード会社は事業実態のない企業に発行してしまうと、返済が遅れることはもちろん犯罪で使用されるリスクもあることから、審査段階で事業実態や事業内容を調査します。
万が一、事業実態や事業内容が不透明で、調査してもわかりにくいと判断される状況であれば、固定電話の用意やホームページの作成などを行うようおすすめします。
法人カードで審査に通るための4つのコツ
せっかく法人カードに申し込むなら、なるべく審査には通りたいものです。
そこで、法人カードの審査に通るためのコツを4つご紹介します。
1.書類などの準備を整えておく
法人カードを作るためには、まず書類を準備しておくことが大切です。書類の内容が事実と食い違っていると審査に落ちるリスクが高まるため気をつけてください。
必要書類は各カード会社によって異なります。主に必要となるのは、以下の4つです。
-
- 6カ月以内に発行した法人の確認書類(登記事項証明書・登記簿謄本(写し)・印鑑証明書など)
- 申込者(経営者)の本人確認書類
- 法人または経営者個人名義の銀行口座
- 申込書(郵送で申し込む場合にのみ必要)
近年はインターネットからの申込みが主流です。
インターネットからの申込みなら10~15分で手続きは完了します。必要な書類を送付し、審査結果が出るまで待ちます。
2.自宅以外の住所にオフィスを設定する
自宅とオフィスの住所が一緒だと、カード会社から「事業実態がないのでは?」と疑われる要因のひとつにもなります。
自宅兼事務所でも審査が通る可能性はもちろんありますが、カード会社にとって不安な要素が存在していると落ちるリスクも高まります。
法人カードの審査では事業実態の透明性は重要なポイントになってくるため、自宅とは別の場所にオフィスを構えておいたほうが安心です。
3.クレヒスを蓄積させる
前述のとおり「クレヒス」とは「クレジットヒストリー」の略で、クレジットカード利用やローンの履歴のことを指します。
法人カードでは申込者または代表者の信用情報も確認されるため、借入れ状況や支払い状況は申し込む前に確認することが大切です。
無理のない借入れ・返済状況であれば審査にも通ると考えられます。
反対に、一度もクレジットカードを作ったことがなく、信用情報がゼロの状態だと社会的な信用度が低いため、審査に落ちることがあります。
こうした状態にならないためにも、良いクレヒスを蓄積させることが重要です。
良いクレヒスとは、これまでに支払いの遅れがなく、毎月一定の金額をきちんと支払い続けていることを指します。
例えば、引き落とし日には残高不足にならないよう入金したり、毎月の公共料金の支払いをクレジットカード払いにしたりすると、良いクレヒスを蓄積できます。
4.使用していないカードは解約する
もし個人で使っていないクレジットカードがあれば、解約することも有効な手段です。
法人カードでは名義が代表者の個人名義になりますが、限度額は代表者がすでに保有しているカードも含めて算出します。
使っていないカードがありながらも放置していると、使っていないカードの分まで含まれて限度額が算出されてしまい、審査で落とされてしまうことがあります。
こうした理由から、使っていないカードはすべて解約し、限度額に余裕を持たせられるようにしてください。
まとめ
法人カードの審査基準は各カード会社によって異なり、すべて最高機密情報になるため、「確実に●●を行うと審査に通る」とはいえません。
しかし、審査の際にチェックされる可能性が高い項目もあることから、なるべく審査に通るためにも最低限の対策はしておくことが大切です。
一度でも法人カードの審査に落ちている場合は、「なぜ落ちてしまったのか」を考えつつ、次の申込みまでに準備を整えておきましょう。
(編集:創業手帳編集部)